有田焼の制作行程
あなたは有田焼をご存知ですか?有田焼とは佐賀県有田町周辺で焼かれた磁器の総称のことで、硬くて丈夫、透明感のある白磁に藍色や赤・黄・金など鮮やかな色が繊細にほどこされているのが特徴となっています。
ここでは有田焼の製作工程を見ていきたいと思います。
まずは、有田焼の主な原料である陶石採掘から始まります。
陶石には天草、泉山と種類があり、ふたつとも違った性質を持っています。
作るものによってふたつの陶石を使い分けます。
採掘された陶石は、粉末状になるまで砕きます。
陶石は急激に粉砕すると、熱を持ってしまい、成形する時に必要な粘り気を失ってしまうので、粉砕は長時間かけて行われます。
粉末状になった陶石を投入機でさらに細かくして、水の入ったタンクに入れかき混ぜます。
早く沈殿する砂利や粗粒を取り除き、その後水槽に移します。
さらに、ゆっくりと沈殿させ、泥漿と上澄み液に分離させます。
沈殿が終わった後の泥漿をフィルタープレスという機械に入れ、圧縮することで余分な水分を除くと四角い陶土板ができます。
空気の泡や粒にむらができないようにしっかりと陶土をこねます。
形や大きさに合せて色々な成形方法があり、ロクロ成形や手造り、型成形、いこみなどの方法で生乾きの成型品の状態にします。
これを生素地と呼ます。
生素地は大変脆く、割れたり欠けたりしないように慎重に扱わなければなりません。
ゆっくりと乾かした生素地を、さらに水気をなくし堅く引き締まった素地にするために窯へ入れ、約900度の低温で焼きます。
素焼きされた器の表面に呉須で描きます。
生素地の状態での下絵付けも可能ですが、大変危険な作業になるので、素焼き行程は必須だと言えます。
染付はこの工程で描かれます。
陶磁器表面を覆う薄いガラス質の釉薬を一面にむらなくかけます。
そうすることでつやが出て水を通さなくなり、汚れにくくなります。
1300度ほどの高温で約16時間かけてじっくりと焼き上げます。
焼成で磁化させることにより、磁器の美しさが現れます。
紺一色の染付と呼ばれる製品は、この本焼の工程で完成です。
本焼で上がった製品に紺色以外の赤・緑・黄・金といった絵具を釉上に施す作業です。
白磁に上絵付したものを赤絵、染付で下絵付したものに上絵付したものを染錦といいます。
赤絵付で施した絵具の定着をよくするために、赤絵窯という上絵を焼き付ける専用の窯で700~800度の低温度で焼き上げ完成です。
以上が有田焼の制作行程になります。
制作行程を知ることで、より有田焼の魅力に触れることが出来たのではないでしょうか?